第8回 ハナムラチカヒロ氏 + 飯島ツトム氏 社会を変えるまなざしの力(7)

ブランディングには「ing」がついています。

飯島 

 ブランディングには「ing」がついています。

 本質について考えたり、ものやそこに携わる人の存在意義を問い続ける、その、問い続ける、ということが「ing」なのです。問いつづける人を、どうやって生み出していくか、ということもブランディングの仕事だとい私は考えています。

 

問い続ける人が増えると、社会や社内の空気が変わる、会社のサービスが変わる、といことに結びついていきますね。

 

 惰性で生きるのではなく、また、人に言われた通りに動くのではなく、一歩一歩自分で確認して生きる生き方ということです。そしてその時、自分と同じ道を歩んでいる人と出会い、ヒントを与えてもらったり、嬉しいという感情が生まれる。

 

 それから、アートという行為を経済の本流へ入れなければいけない。アートのなかにもいろいろあるが、マスターピースを作り出すには、自分をイノセントにし、自分というものの位置をどこにおくかということが非常に重要になってきます。それは社会的な地位やパワーではなく、自分がどこにいればいいのかということであり、それをナビゲートする人がなかなかいない。

 

 デザインとは思考の流れをつくりだすこと。デザインシンキング。「どうやって考えをつなげているか」ということ。

 

 新しくものを構築していくということを推進して行くには、先端的な検証や、すべての学問領域を駆使しないとそれはできない。デザインにおいてカテゴリは必要ないし、デザイン学校に行った人がデザインをする、という必要もない。

 

想いを持った人がデザインをするべきです。そしてそういう人がデザインをした時にその人を支える体制を、みんなでどう作るかということが大切です。

 

 ココ・シャネルは、それまで重く動きづらかった女性の服装を動きやすく活動的なものに変えました。ものとして現れたのはシャネルスーツでありますが、彼女は「かっこいい女性の生き方」というスタイルをつくったのです。女性が凜として生きていく為のスタイルを作り出した。

 

 みんな、彼女をファッションのデザイナーといいますが私は、生き方をデザインし実践したのだと考えています。

 


ーかっこよく生きる、ということは先ほどハナムラさんもおっしゃっていましたね。

 

 

ハナムラ

 現在のデザインの多くはカタチ、つまりは「答え」を持った状態から入っていることにあるのだと思います。しかし本当は「問い」から入るべきなんです。デザインは「カ」・「カタ」・「カタチ」と言われるように、まず本質的な部分への問いを発しながら「~化(カ)」するところから始めるべきだと思います。

 

それが繰り返される内に体系だった「型(カタ)」ができ、最終的に「形(カタチ)」が出てくる。つまり問い続けた結果として形がでてくる。つまり、形というのは、本来は探していく行為なんです。

 

 だから結果としての形から入るのではなく、物事の本質を見つめていく中で、どういう形がふさわしいのか、必要なのか、合理的なのかという「問い」を発し続けた結果として形がでてくるべきなんだと思います。

 

 そしてそれがちゃんとできているモノは、そのデザイナーが問い続けた感覚や行為が追体験できるようになっているのだと思います。まさにそれこそが「マスターピース」ですね。しかしその形だけを真似したところで本質が問えていなければ、どこまでいってもマスターピースには近付けないんです。

 

 それはモノを通じてだけに限られたものではないと僕は考えていて、自分の表現では言葉や認識や風景ということを通じて本質に導くことができないかということに取り組んでいるつもりです。

 


ーなるほど。いずれにせよ、「本質」を問い続けることが必要ですね。

 

 

 

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