第7回 上條由紀子氏 「知的財産」を守る特許のプロフェッショナルが化学技術と社会をつなぐ担い手として、道を歩み続ける。(3)

偶然か運命か!? つながる人と人のご縁

橋本

いろいろな弁理士の方にお会いしていますが、上條先生はプロフェ ッショナルとしての意識が高いんですよね。特許のことは、上條先生!という感じでおります。
最近のホットトピックスは早稲田大学の武岡先生らが研究開発された「ナノ絆創膏」※http://www.waseda.jp/jp/news09/090707_p.htmlのお仕事ですね。普通の絆創膏は分厚いのでがさがさしたり、傷が残ったりしますが、「ナノ絆創膏」は世界一薄い高分子シートで、傷が残らない。また、手術のときは、分厚い絆創膏は生体に適合しないので、どこかで取り除かなければいけないのですが、「ナノ絆創膏」は生体適合する、世界にない技術なんです。この研究技術をどのように特許で守り、世界に展開していくかというときに、上條先生に相談にのっていただいています。
 

 

 それで、びっくりしたのですが、上條先生が化学系のご出身とは聞いていましたが、その武岡先生と同分野を専門に勉強されていたことがわかって…。

上條

 偶然なのですが、高分子化学の研究をしていたんです。高分子というのは、プラスチックなどが代表的ですが、小さい分子(低分子)が手をつないで沢山並ぶと高分子という一つの大きな分子になるのです。小さい分子(低分子)では、さらさらとした紛体や液体だったものが、手をつないで高分子になると、どろっと粘度が上がったり、樹脂のような塊になって強度が高い材料になったり、独特の性質を発揮するようになります。つまり、ナノシートのように、すごく薄くのばしても切れにくい材料ができたり、飛行機の外側に貼れるくらい強度の高い樹脂ができたりするんです。

株式会社フューチャーラボラトリ

代表取締役社長

橋本 昌隆


 私は修士課程まで高分子化学の研究をしていましたが、一度研究畑を離れて弁理士になり、知的財産権法の観点で新しい技術がどう保護・活用されていくのかを見てきました。でも、高分子化学、特に医用高分子材料の研究とその実用化への取組みついて志半ばであったことから、あらためてレギュラトリーサイエンスの観点で研究を再開する場を探していたのです。

 

橋本

 それでこのたび、武岡先生が所属されている大学院に入学されたんですよ

 

永岡

 えー! すごい!

 

上條

 「ナノ絆創膏」の知的財産戦略に関するお手伝いもしながら、レギュラトリーサイエンスの観点から、研究開発で生まれた医用高分子材料の商業化について研究に携わることになりました。もう、運命がどこでどうなっているか、わからないですね。橋本さんにはお仕事だけでなく、人との出会いでもお世話になっています。