第1回 児玉充晴氏 「ビジネスを、人をマネジメントする」とは?ベンチャーの神様がフューチャーラボラトリを丸ハダカにする!(1)

人の心をどうマネジメントするか!

山内

 児玉先生の社会人としてのスタートはどのようなものでしたか?

 

児玉

専門は電子工学だったんですが、大学院を出て当時の電電公社、 いまのNTTに入社しました。研究所に行くつもりだったんですが、事業部に配属されまして、それが電電公社を“コミュニケーションズ”にどう変えるかという、私の20年間の戦いのはじまりでした。

 

児玉教授は1978年に京都大学工学部電子工学科の大学院修士課程を修められると、当時の日本電信電話公社に入社。おもに企業通信関係のビジネスを担当してきた。

 

山内

在職中にどのようなことが身に付きましたか?

 

児玉

そうですね。まず、どうやって人の心をマネジメントしてお金に 換えるか、という事です。


 技術はマネジメントしてもお金には換わりません。人の考え “ シンキング ” をマネジメントして、人にどう働いてもらうかを考えるからお金になるのであります。MOT〔 Management of Technology 〕においては、もう1つのMOTである〔 Management of Thinking 〕が大切なのです。

 

 NTTでの在職経験でわかった事はたったひとつでした。『人の持って生まれた素質は死ななきゃなおらない。変えようとしても無理だ』という事です。電電公社の人々のシンキングを変えようと頑張ったのですが、結局は変わりませんでした。

 

 

電電公社は変わらなかったと謙遜されている児玉教授だが、
電電公社からNTTコミュニケーションズへの大きな変革も見守ってきた。


また、NTT初のベンチャーキャピタルを設立し、
300社以上の中小企業、ベンチャーに対してコンサルティングを実施してきた。
これらの豊かな企業経験は、現在、経営手法を教える上で大いに影響していると言えるだろう。

 

山内

 20年お勤めになって、なぜ教職の道を選ばれたのですか?

 

児玉

 昨年、53才でNTTを定年退職しました。
普通ならこの後は、NTTの子会社や取引先関係の企業に再就職するわけですが、そんな過去の延長線上の人生はいやだったんです。もっと自分の適性にあった仕事があるはずです。退職する5年前に、将来を見てもらうために成田の占い師のところに行きました。このとき、その占い師から

「あなた特許を持っているでしょう。技術やビジネスに対して好奇心が旺盛で、書くことが好き。そこまで揃っていれば特許を持っててもおかしくない」
とぴたりと言い当てられました。

 

名古屋大学大学院情報科学研究科

社会システム 情報学専攻

山内章恵

 


 さらにその占い師から「学者の星が2つもあります」と言われました。それで技術とビジネスを教える教授になろうという目標を持ったのです。

 

 その目標達成のためにあらゆるチャンスをものにしようとしました。名工大の副学長に相談して、博士課程に入学したのもこの考えからです。その後、営業本部の仕事をしながら、死ぬ思いで工学博士号を取りました。


 20年前に名古屋にいたという縁があって、中部大学の客員教授をしていたのですが、定年退職後、経営情報学部の教授で来ないか?という学長のお誘いもあり、
教職に就いたわけです。

 

チバ

20年で得てきた事をいまは教える立場にいらっしゃる。
どんな事を教えていらっしゃるのですか?

 

児玉

 私は定年退職間際にセールスエンジニアリング部長という役職に就いていました。企業に利益をもたらすセールスをエンジニアリングしていたわけです。ここで、今の企業に欠けている事柄を多く気づきました。現在、ここの部分を教えているわけです。

 

 ひとつは、技術をどうお金に換えるか、という『技術の換金学』です。それにはコミュニケーションが重要です。最近では一般的にコミュニケーションが下手になったと言われております。私は講義や講演で話をする事が多いのですが、お話する前に話の設計図を作ってからお話しています。これはコミュニケーションのコツのひとつです。

 

 もうひとつは、企業競争力をどう評価するか、です。金融機関が企業を評価する指標にはさまざまなものがあります。私は金融機関のSEの統括部長を6年半、NTTリースにも3年間いましたが、この経験で、企業が金融機関を評価する指標がよくないという事がわかりました。企業を評価する上で、その将来を調べなければならないのに「過去3年の決算書もってこい」という事ではお話にならない。彼らはそれでしか評価できないと思っているんです。

 

 人の将来は予測できます。その方法をSTAR手法と呼んでいますが、その人が進めるビジネス自体の将来が予測ができるのです。

 

児玉教授は、日本の企業におけるビジネス方法を研究し、利益獲得のための手法などを社会人を中心に教えている。


専門は、話題にも出ている企業が利益体質に変革するための「技術の換金学」や「経営心理学」、「営業心理学」、「経営管理手法」、「情報化時代の組織学」、「社員 のモチベーション向上方法」、「STAR手法による人材採用方法」など、利益向上に腐心する企業にとって、ビジネスの現場で実践的な戦略となり得る分野と言えるだろう。

 


チバ

具体的にはどのように人の将来を予測するのでしょうか?

 

児玉

過去、その人がとってきた行動を事前に調べておくと、将来の同じ状況においてその人は過去と同じ行動をとりやすいという法則を使うのです。「人間死ななきゃ治らない」という法則の応用ですね。それを橋本さんに当てはめたらどうなるか。

 

山内

丸ハダカにできるわけですね。

 

橋本

こ、怖いなぁ(笑)